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QuickTime ■FireWireでDVキャプチャー (99/09/05

   

 待望のPowerBook G3('99)用FireWirePCカードを導入した。要はPowerBookでデジタルビデオの取り込みができるようになったわけである。RatocシステムのREX-CBFW2だ。
REX-CBFW2従来はPowerMacintosh 8600/250でBUGのDeskStudio PCIというMotion JPEGのアナログキャプチャーカード経由でビデオ画像の取り込みをしていた。このボードはルーツをQuadra 840用のDeskStudioにさかのぼり、CPUをPowerMacintosh 8100/80にアップグレードした際にNu-Bus用の DeskStudio Proへとアップグレード、さらにPCI Mac用にDeskStudio DRのHDオプションを省略したアップグレード専用のバージョンとして格安で提供されたのがDeskStudio PCIだ(なんとアップグレード前のDeskStudio Proは返却してくれた!)。AV Macのビデオ取り込み回路を利用したコストパフォーマンスに優れた製品群で、あしかけ6年近くお世話になっているせいもあり、手になじんだシステムとして愛着がある。
 さて、FireWire経由のDV取り込みである。 結論からいって画質は綺麗だし、HDのフラグメンテーションがなければコマ落ちも(ほぼ)起こらない。しかし3点ほど不満がある。オーディオのサンプリングレートが32kHzしか選べない、取り込んだ画像をリアルタイムでプレビューできない、画像サイズと圧縮率を変更できないという点だ。

オーディオのサンプリングレートが32kHzしか選べない
  DVのオーディオは通常48kHzと32kHzが選択できる(CDは44.1kHz)。しかしQuickTime4に含まれるApple DV codecを使用すると現状では32kHzでのオーディオ・キャプチャーしかできないそうだ。最初、知らずに48kHzの設定で取り込んだところ、FireWire経由で外部のNTSCモニタに出力する際にエラーが起きてしまった。
 48kHzと32kHz、ヘッドホンなどで注意して聞かなければ気にならないといえば気にならないけど、せっかく画質の劣化を最小限に押さえて作業できるンだから、音の方もオリジナルの品質に近づけたいと思ってしまう。
 この問題を解決したければ、サードパーティ製のcodecを使用するしかない。具体的な製品名を挙げるとすればデジタルオリジン社の“Edit DV”に含まれる“Digital Origine DV codec”を利用するわけである。ところがこの“Edit DV”は定価102,000円也。すでにAdobe Premiereがあればcodecのためだけにこの金額を支払うのはちょっと辛い....。ちなみにデジタルオリジンのMotoDVというデスクトップマシン用の製品(FireWireボード+簡易取り込みソフトウェア)にはDigital Origine DV codecが含まれる模様。PowerMacintosh G3(青白)向けにはMotoDVのソフトウェアのみのバージョンも発売されているが(22,000円)、この製品ではPBG3のカードバスに挿したFireWire PCカードは認識しないそうだ。
  ちなみについ最近、アメリカのDigital Origine本社はこのFireWireボードをPCカードに置き換えた製品“MotoDV Mobile”を発表した。G3(青白)とG4、そしてPBG3にも対応したMotoDVのソフトウェアのみのバージョンをぜひ発売してほしいものだ。
 ※Edit DVの簡易バージョン“Edit DV Unplugged”(19,800円)には“Digital Origine DV codec”は含まれない。
 ※ “Digital Origine DV codec”はサンプリングレート48kHzを実現するだけでなく、画質的にもApple DV codecをしのぐばかりか、16:9の画像サイズを扱うことも可能らしい......。

取り込んだ画像をリアルタイムでプレビューできない
 DVのデータはすでに圧縮されたデジタル・データの状態でテープに記録されているわけで、取り込みといっても感覚的にはデジタル・データをFireWire経由でHDにコピーするようなものだ。FireWire経由でカムコーダーに出力する際も同様だ。しかしHD上のデータをモニタで再生する際には、CPUで解凍(デコード)しなければならない。現状ではG3/400MHzのパフォーマンスを持ってしてもフルサイズ/フルモーションのデータをリアルタイムにデコードすることができず、画像がジャギジャギの荒い解像度での再生が精一杯といったところだ。もちろん解像度を良くすることもできるがコマ落ちしてしまう。
 作業時は荒い解像度でもOKだと割り切れば問題はないけれど、実写とCG(3Dだけじゃなくてタイトルやロゴ、モーション・グラフィックスなど)を組み合わせる時など、気分的に“あずましくない”。このあたりの問題は先頃登場したPowerMac G4であれば解決されるのかもしれないけど....。

画像サイズとデータレートを変更できない
  DVの正確な画像サイズは720×480pixcel(NTSC)で、データレートは3.6MB/sで事実上固定されている。いわゆるフルサイズ/フルモーション(30fps/60field)は、最終的にデータをNTSCモニタやビデオに出力するなら当然のスペックになるけど、CD-ROMやweb casting用のQuickTimeムービーとしてはまったくのオーバークオリティである。愛用するDeskStudio-PCIのシステムでは、フルサイズ(640×480)に加えハーフサイズ(320×240)での取り込みもサポートしており、フルサイズに比べ1/4のデータ量で済むようになっている。もちろんCD-ROMやweb casting用として使用するにはTerran InteractiveのMediaCleaner Proなどで再圧縮するわけだが、リサイズする時間もバカにはできないし、現在のMac OSの1ファイル2GBまでという制限を考えれば、DV(3.6MB/s)では最大で約9分しか取り込めないが、DeskStudio-PCIのハーフサイズ(画像のデータレートを仮に1MB/sとする)では最大で約33分の動画を取り込むことができる。
 ※DVのデータレート(3.6MB/s)は動画+音声の値。 DeskStudio-PCIでは音声のデータ量も考慮する必要がある。

Appleのcodecのさらなる改良も必要だけど、やっぱり“Digital Origine DV codec”単体での販売もしてほしいなぁ.....。しかもSorenson VideoのDevelopper Versionのようにwebサイトでダウンロード販売してくれれば言うことなしデス。

 <technical information>
 ・取り込み用ハードウェア
   Apple PowerBook G3 400MHz(288MB/6GBHD)
    Mac OS 8.6/QuickTime 4.02日本語版/FireWire 2.1
   RATOC Systems REX-CBFW2
   SONY DVMC-DAT(メディア・コンバーター)
   SONY CCD-VX1(3CCD Hi8 カムコーダー)
 ・取り込み用ソフトウェア
   Adobe Premiere 5.1J + Adobe Premiere Plug-Ins
 ・書き出し用ソフトウェア
   Adobe Premiere 5.1J + Adobe Premiere Plug-Ins

 ※以上、あくまで個人的見解です
 質問・訂正等がありましたら qtb@northern-lights.co.jpまで。

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