a note

10月 

人前で読めない本

 
 ゲンバクの反動 

 

10月26日

 

■ 人前で読めない本

 道徳的見地ってのを除外したとしても人前で読めない本って絶対にある。読むと涙の止まらない本とか、お腹が鳴ってしまう本とか。でも代表格は可笑しくて可笑しくてついつい吹き出しちゃう本だ。

 これは困る。ほんとに困る。地下鉄なんかで読んでると、周囲の視線が気になるから読み続けたくはないンだけど、ホントは面白いから読まないわけにはいかない。そしてまた吹き出す....。マッタクもってマズイ展開である。
 この手の話題は昔からあったけど、個人的な“人前で読めない本ベスト5”に入ると思われるのが山下洋輔氏の一連のエッセイだ。ハナモゲラ語を生み育て、タモリを発見し、筒井康隆氏とも交友のあるジャズピアニスト・山下氏。去年の末に晶文社から3冊の「山下洋輔エッセイコレクション」が出版され、書店で見かけるたびに迷っていたけどついに買ってしまった。

 内容的には'70年代から'90年代にかけて発表された作品の集大成。大学生の頃に文庫で読んだものも多く、再び読んでも古さを感じさせないのには驚いた。
 とくに3冊目の“全冷中(全日本冷やし中華愛好会)”結成の下りが秀逸で、文化としての冷やし中華の発祥を史事になぞらえ、デタラメながら筋の通った(?)説を展開していく。
 東海林さだお氏と椎名誠氏の対談などにも同様な手法がよく登場するけど、真剣度は山下氏のほうが勝ると思う。


 山下洋輔エッセイコレクション
1) 『ジャズ武芸帳』 2)『山下洋輔旅日記』 3)『へらさけ犯科帳』(晶文社刊)

 続いては最近読んだ面白本。これは人前でもダイジョウブ。

 

『キロ・クラス』(パトリック・ロビンソン著 角川書店刊)

 トム・クランシーの“レッド・オクトーバーを追え” が冷戦時代の潜水艦ものハイテク軍事スリラーの白眉とすれば、この本はポスト冷戦時代のソレである(キッパリ)。
 実はこの本は今年7月に出版されたものだけど、'97年11月にパトリック・ロビンソンの第1作『ニミッツ・クラス』が出ていて、続編的な内容だった。最初に2作目の『キロ・クラス』を読んでかなり面白かったのに、後から読んだ第1作『ニミッツ・クラス』のほうが今では強く印象に残っている。1作→2作と読めばもっと面白かったのにと少々残念。

 ちなみに『ニミッツ・クラス』は、かのダーク・ピットシリーズの著者クライブ・カッスラーをして「読者を否応なくクライマックスまで引き込む衝撃的な一冊」と言わしめ、『鷲は舞い降りた』『脱出航路』『双生の荒鷲』など第二次大戦を舞台にした冒険小説を書かせたら右に出る者がいない(?)ジャック・ヒギンズに「最高のスリラー。このジャンルではここ数年でベストの作品だ」と言わしめた傑作。
  次回作には『ニミッツ・クラス』でハナシの鍵を握っていた男が再度登場するようで、いまから待ち遠しい気分だ。

 

bar

10月05日

 

■ ゲンバクの反動

 9月は原爆がらみの本を読んでいたので“いばらキ”の事件について、はからずも予習してしまっていたコトになる。

 核燃料サイクル開発機構 東海事業所のサイトに環境放射線の監視というページがあって、放射線の状況を24時間/48時間/1週間の時間単位で放射線量の推移を見ることができる。

[環境放射線モニタリング情報 空間γ線量率トレンドグラフ]
※核燃料サイクル開発機構東海事業所の放射線モニタリング情報のグラフ。毎日更新されてしまうので、キャプチャーさせてもらいました...。9/30〜10/1の“山”が一目瞭然。

 以上、復習(?)終わり。

 

 というわけでムズカシイ分厚い本が続いたので、反動でマッタク別系統の本を読んだ。

『ソング・オブ・ザ・リバー(上)(下)』(スー・ハリスン著、河島弘美訳/晶文社刊)

  '95年から'97年にかけて日本で刊行された、“〜先住民文学の白眉〜アリューシャン黙示録三部作”の作者が満を持して発表した作品。
 「紀元前6000年、やがてアラスカと呼ばれる凍てつく大地−−愛と復讐のミステリアスノベル」(帯のコピーより)。アラスカの太平洋岸の自然を舞台にした先住民族の物語で、〈ラッコ〉〈雲〉〈クラウドベリー〉〈黒曜石〉など登場人物の名前が独特。最初はとっつきにくいかもしれないが、一度読み出したら一気読みデス。

 

『 四万十川がたり』( 野村春松 語り、蟹江 節子 聞き書き/山と渓谷社刊)

 カヌーイストでありエッセイストの野田知佑氏が「四万十川のことは、野村のおんちゃんに聞け」と尊敬する野村春松 爺さんの、川にまつわる貴重な思い出話をまとめた1冊。ポイントは“野村のおんちゃん”の語り口調で記されているということ。西土佐弁(?)味わい深し。

 '87年の暮れに大学時代の後輩とフォールディング・カヤックで四万十川を下った時には、四万十の生き字引“野村のおんちゃん”には残念ながら会うことができなかった。その時以来の喉のつかえが12年ぶりにようやく解消されたような気分。

 

『西へ行く者は西へ進む』(えのきどいちろう著/中央公論新社刊)

 クルマ雑誌(と言い切っちゃえるかどうか)の『NAVI』(二玄社刊)に連載されていたコラムをまとめたもの。よくもまぁクルマにカンケーのないことをこれだけツラツラと書き綴ったもんだ。
 好きデス。えのきどいちろうのコラム。

[Follow Up]
インターネットで追跡する「毒入りカレー事件」 四人はなぜ死んだのか』(/文藝春秋刊)の著者である三好万季さんへのインタビュー記事HotWiredに掲載されてましたゾ。記事とはカンケーないけど、彼女がこんかいの事件をどう見たのかが興味あるなぁ。

bar

back number

9月  Think Small
 VW Beetleと言えば、忘れるわけにはいかないのが“あの広告キャンペーン”だ。“Think different”って聞いて真っ先に思い出したのもコレである。 
 アメリカのTVCF ひょんなことからアメリカのTVCFをQuickTimeムービーで視聴できるサイトを発見した。 
 

The Day After Trinity

 ボイジャー社のCD-ROMでどうしても紹介しておきたいものがある。『ヒロシマ・ナガサキのまえに 〜オッペンハイマーと原子爆弾』だ。 
 フムフム
 『人類、月に立つ(下)』(アンドルー・チェイキン著/NHK出版刊)が書店に並び始めた。アポロ計画にまつわる人間ドラマを、上巻に続き13号から最終の17号まで追ったもの。
 
 
8月  嵐の大洋
 

 先月までのハナシの流れで言えば“嵐の大洋”はアポロ12号の着陸地点ってことだけど、こんかいは地球上のハナシ。
 
 
7月 

FULL MOONと月面VRムービー

 思ったよりは盛り上がらなかった7月20日だけど、この写真集とVRムービーにはカンドーした。 
 15歳 7月25日がやってくる。そう。和歌山の「毒入りカレー事件」から丸1年がたったのである。 
  もうひとつのEposode I 7月20日がやってくる。そう。お約束の月着陸30周年である。 
  the artisan spirit  最近“技の価値”について思いを巡らす日々が続いている。 
  Hyper Text Museum
 
 QuickTime4の日本語版がそろそろ登場するらしい。Flash4の日本語版も今月末に登場が決まっている。 日本のインターネット人口が2,000万人を超え、メディアリッチでエンターテイメント性を重視したwebサイトがアタリマエになっている今だからこそ紹介したいサイトがある。
 
 
6月  宇宙つながり・飛行士つながり 東京出張(MacromediaのUCON'99参加)で自由な時間が取れたせいもあるけど、やっぱり「人類、月に立つ」を見たのが大きかったのか、関連本をたくさん読んだ。 
 FROM THE EARTH TO THE MOON(人類、月に立つ)  BS10周年記念特別編成で放映中の「人類、月に立つ」が面白い。アポロ計画の全貌をドラマ化したもので、6/16まで放映中。 

ご意見・ご感想は qtb@northern-lights.co.jpまで。